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December 23, 2004

【米国批判・靖国】キリスト教原理主義は、米国の過失と『死の商人』を正当化するもの

※この文章は、キリスト教を否定するものではありません。

あらゆる宗教は、布教のために多様な変化を続けるものだ。
北伝仏教は、より広くの信者を獲得するために、インドの民間信仰を入れることで、釈尊の神格化を強化した。中国で地獄の観念など、中国的要素を混ぜることで、より布教しやすい形に変質させている。
諸神諸仏というが、大半がインド・中国で本来の仏教を歪めて入れられたものであり、その典型が弥勒菩薩である。北伝仏教が弥勒菩薩を教義に入れた理由は、恐らくキリスト教の影響だろう。北伝仏教の創始者、竜樹は150~250年頃のバラモン出身の僧なのだ。
そして、日本においては山岳信仰を中心に在来の神道等を取り込んだ形で、独自の発達を遂げている。

布教のための変質をすべて悪しきものと考えるのは間違いだが、キリスト教原理主義の本質は、主に米国が過去に行った過失を正当化できるからこそ普及しているのであり、キリスト教よりもユダヤ教の亜種に近い性質を帯びている。

プロテスタントといえば、多くの日本人はルター派とカルバン派しか思いつかないだろうが、英米のプロテスタントの多くは、英国国教会の亜種である。

英国国教会は、設立当初から血塗られている。
ローマ教会が離婚を許さないのを理由に、ローマ教会を離脱して英国王が首長となる教会を設立したのであるが、そのヘンリー8世は6人の妻を持ち、2番目の妻アン・ブーリンと5番目の妻キャサリン・ハワードを姦通罪で処刑している。6人のうち死別は3番目の妻ジェーン・シーモアのみである。
英国国教会の成立には、ローマ教会を通して仏の影響力を廃したかったのもあるだろう。アビニョン捕囚(1309~77)の影響でフランスはローマ教会への影響力を強化していた。
また、ローマ教会自体が各国の王の上に己の存在を置く状態であり、英国内の反発があるからこそ、英国国教会は存続したのだろう。
つまり、設立自体が、エゴイズムとナショナリズムが動機である。
そのため、エリザベス一世時代に英国国教会から清教徒が反発して分離するのだが、彼らがローマ教会へ戻らずに新しい諸派を建てていった理由も、ナショナリズムによるローマ教会への反発があった。
もちろん、当時のローマ教会は相当腐敗していたのも事実だ。
つまり、英米のプロテスタントの場合、ルター派とカルバン派ほど純粋な動機とは言い難い部分が元来強かったのである。

ローマ教会を離れた時に、教皇に替わる宗教的権威は、何になるか。
自派内のヒエラルキーの頂点である。
古い宗派の中で頂点を極めることは難しいが、新派を建てれば己自身が頂点になりうる可能性がある。
「英国人は六十の宗派を抱えているが、料理のソースは一つだ」というイタリアの諺があるほど、英米のプロテスタントは多数の派がある。
己が宗教的権威になりたいという我欲こそが、多数の派が存在する理由の最大の要因ではないかと憶測している。

一番の問題は、聖書無謬性という偏向なのだが、これはルター派が聖書中心主義を唱えた影響から英米のキリスト教原理主義に多い。
キリスト教において本来一番大切なのは、イエス=キリストの言葉であった筈だが、イエス=キリストの言葉と矛盾する見解を米国人が頻繁に出すのは、聖書無謬性の影響ではないかと思う。
聖書無謬性、というよりも、旧約聖書無謬性こそが、キリスト教原理主義の中心に存在するのではないか。

旧約聖書は、無謬どころか矛盾だらけだが、キリスト教原理主義で重要視されているのは、旧約聖書の内容とヨハネの黙示録なのである。
ヨハネの黙示録の諸派にとって都合の良い解釈することと、旧約の内容が、キリスト教原理主義の根本のようだ。
これでは、キリスト教というよりも、選民思想が極端に強いユダヤ教の亜種である。

まず、北米インディアンの土地を奪ったことについては、「アメリカは約束の地である」と説明する。
鉄砲隊に向かって「特攻」を続けた北米インディアンを、虐殺し続けるのに当たって、「北米インディアンは聖書に書かれていない。だから、あれらは人間ではない」と説明する。
奴隷貿易の中心は実は英国だったが、「黒人は聖書に書かれていない。だから、あれらは人間ではない」と同様に説明している。
聖書の無謬性という信仰を利用することによって、自分達のエゴイズムや貪欲な物欲、選民思想を合理化できるのだ。

どんな人間だとて、異民族でも多数の人間を無差別虐殺すれば、潜在的に罪悪感を感じるものである。
もちろん、本物の「見せかけだけの善人」ならば、潜在的にも罪悪感を感じないだろうが。
米国人の心に在った潜在的罪悪感や不安感を薄れさせ、自らの虐殺・軍事的及び経済的侵略を正当化するために、聖書無謬性は、実に利用価値の高い説なのである。

聖書無謬性は、選民思想を強化し、エゴイズムの発現と経済侵略を正当化する。
だから、英国は「死の商人」として長年成功できたのだろう。日本で有名なグラバーも、英国の武器商人である。
第二次世界大戦後、英国の国土は荒廃していた。
戦争の被害のない米国が「世界の中心」となったのは必然であるが、その世界の中心とは、「世界の武器工場」なのである。この情けない地位は、この先当分揺るぎそうにない。
人殺しで儲ける「商売」は、私は世界中で最も卑しい職業だと思う。
殺傷兵器を多数生産することにも、自己正当化と合理化が必ず必要になる。
「我々は、民主主義を世界に普及するために武器を製造しているのである」とか工場で合理化の言葉を言わなければ、現場の労働意欲が必ず低下していく筈だからだ。

米国で武器を多数製造しなくても、たくさんある別の産業に大半を転換すればいいだけの筈だ。日本は、戦後ちゃんとできたのだから。
だが、恐らく、最早不可能だろう。

なぜなら、米国は「民主的な豊かな社会」から「憎悪と恐怖の対象」「言論を弾圧する強国」へと変質して行っているからである。
報復を恐れて先制攻撃し、無差別攻撃するために、他国民の憎悪と怒りが増し、死を賭しても抵抗を表したいという人々をどんどん増やしているという、ごく当たり前の論理が、米国人には理解できないようだ。
恐らく、欧米人以外の人々を、無意識下で「人間」と認めていないからである。
世界中から恨まれ憎まれていることを、米国人の大半が9.11まで気づかずに済めたのは、エバンジェリカルが米国民が潜在的に持つ罪悪感や不安感を合理化し、選民思想を強化してくれているためである。

戦争があるたびに、米国内のエバンジェリカルは信者数を増していく。
今や、聖書無謬性を信じる米国人が半数以上なのではないか。
例え、神が言ったことが正しかったとしても、転記を続けた古代ユダヤ人が自分達に都合の良い内容に書き換えなかったと何故信じられるのかは、理解に苦しむ。
古代ユダヤ人の知っている世界しか書かれていないからといって、それ以外の土地に住むのは人間ではない、あるいは被差別民族だと信じられるのは、何故なのか。
「木を見る西洋人 森を見る東洋人」に従えば、西洋人の世界観があまりに単純だからと説明できるだろう。
そんなに、世の中、単純なわけなかろうが。
あらゆる物事は、複雑に絡み合っている。
人体の一部が悪くなれば、全体に影響が及ぶようにだ。

潜在的罪悪感を引きずるからこそ、米国は犯罪大国になったのではないか。
エバンジェリカルは「核戦争を待望する人びと―聖書根本主義派潜入記 朝日選書」によると、ヨハネの黙示録の「ゴグとマゴク」、つまりイスラエルに進攻して戦う二つの大国とは、ロシアと中国だと教えているそうだ。
信者を増やすために、「核戦争はすぐ来る」とエバンジェリカルが米国民の恐怖を煽れば煽るほど、「どうせ先はないんだから」と自暴自棄の心境に陥り、犯罪に走る者は増えていったのだろう。
潜在的罪悪感や不安感は、潜在的犯罪者を増加させていき、米国民の人心を荒廃させて行ったのである。

「人のふり見て我がふり直せ」と言う。
経団連が武器輸出を求めた結果、内閣が勝手に、当座米国にのみミサイルを輸出することに決めてしまったが、これは米国の轍を踏むことになるだろう。
潜在的罪悪感を合理化する装置としての宗教は、日本において国家神道と靖国である。
次第に国粋主義者が再度増えて行っている現状を、よく考えてほしい。
米国の事実上支配下に入っている日本では、精神的には戦後の混乱が続いたままなのである。
恐らく、潜在的罪悪感や社会の矛盾を合理化するために、日本人の多数が、再び自発的に国家神道と靖国に縋り始めたのである。
それを否定する者に対して、「非国民」扱いが始まっている。
戦後の精神的混乱を「日教組の偏向が」等とする、安易な合理化を続けているようでは、昭和初期と同じ状況を自ら作り出してしまうだろう。

そして、潜在的罪悪感と社会の矛盾を合理化するのに、靖国では駄目だと考える人々が新・新興宗教に縋っていくのである。
この状況が長く続けば、オウムのような極端な教義を必要とする人々が増えていくはずだ。
武器輸出は、第二・第三のオウムを作り出し、アーレフを強化する。
エゴイズム、利己主義と物質主義、利益優先主義、選民思想などの、「アメリカナイゼーション」が「グローバリズム」の名で一層進行していけば、犯罪発生率が増加するのは当然である。
物事は連鎖していると考えるのは、東洋的発想らしいが、過去の清算が充分に済まないならば、潜在的罪悪感や不安感が、国を誤った方向へと導くのは避けがたいだろう。

良い商品を世界に供給するのを止めて、死の商人への道を進むのが、日本国の将来のために素晴らしいことと思いますか。
経済的論理のみを追求すれば、犯罪発生率は高まり、要人暗殺や報道機関への武力攻撃等の右翼テロが頻発する時代をもたらすだろう。
その先にあるのは、五‐一五事件(1932年犬養毅首相暗殺)、二‐二六事件(1936年陸軍クーデター)のような時代が来るだろう。
貴方は、奥田経団連会長や小泉首相が、そういうことまで考えて武器輸出を決めたと思いますか。

重要案件が国会の議決を経ないで決まる事態は、民主主義の形骸化の進行です。
「誰がなっても変らない」と賢しらに言う人々が多数日本にはいますが、本来、日本の未来を選ぶのは、国民の一票の筈です。
貴方は、どんな未来を選びたいと考えていますか?
何もせずに他人(政治家や官僚)のせいにするというのも、一つの選択であり、その選択に相応しい未来が待っているはずです。

参考文献:
「核戦争を待望する人びと―聖書根本主義派潜入記 朝日選書」
 この本は、現在品切れですが、当分重版予定がないそうです。
 グレース・ハルセル女史は、2003年に改定・拡大版を出したためのようです。
 すぐに必要な方には、「Forcing God's Hand: Why Millions Pray for a Quick Rapture-- And Destruction of Planet Earth」が入手可能です。

「木を見る西洋人 森を見る東洋人」
「世界大百科事典」平凡社;ソフトウェア版は現在入手不可能です。

「キリスト教原理主義のアメリカ」
「スピーチ引用名言辞典」これは在庫切れですが、同じモーリス・マルー氏の著作で、
「世界ことわざ名言辞典 講談社学術文庫」は入手可能です。

「梅原猛の授業 仏教」

※この文章は、キリスト教を否定するものではありません。個人的には、キリスト教徒は、旧約やヨハネの黙示録ではなく、四福音書に戻るべきだと考えます。
 以前申し上げたように、私は現ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世を心から尊敬しております。



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Comments

「あなたもUDがん研究プロジェクトに参加しませんか?」というコーコクさん(koukoku@koukoku.com)の発言を削除させて頂きます。

まず、私はこういうプロジェクトには、セキュリティ上の理由で反対します。
クラッカー(ハッカー)の踏み台攻撃に悪用される危険性が個々人のユーザーに増しますので、安易な善意は危険ではないかと以前より危惧しておりました。
その点をご理解の上で、参加なさりたい方は、参加されて構いませんが、私としては、他の方法がいくらでもあるのに、ネット上で分析を共有というのは、危険きわまりないと考えます。
大抵の参加者の方々が善意なのはわかりますが、私のブログからのリンクは拒否します。読んで下さっている方への責任を感じますので。

そもそも、なぜ、いきなり広告だけを書くのか。
私本人に対する説明も一切なく。
スパムに近い書き込みですので、危険性が高いし、裏があると判断しました。

非公式リンクになっていましたが、なぜ、公式リンクではないのか?
以前、募金に歩いていた人にHPがパンフに書いてないのを指摘した後、あわてて逃げましたが、統一教会関係団体でした。
よく、自分の眼で見て耳で聞き、充分に納得がいかないなら、善意のつもりで人を死に追いやることもあります(例:米国)。

Posted by: りーと | December 31, 2004 at 01:41 AM

TBありがとうございました
キリスト教原理主義の教理の話は
現在のアメリカを理解する上で説得力があると感じました。
理不尽、ご都合主義、独善的な白人至上主義の宗教バージョンといったところかもしれませんね。
いずれにしろ他民族抑圧に日本が巻き込まれるのはごめんですね。

Posted by: kouhei | February 27, 2005 at 03:39 PM

>どんな人間だとて、異民族でも多数の人間を無差別虐殺すれば、>潜在的に罪悪感を感じるものである。
>もちろん、本物の「見せかけだけの善人」ならば、潜在的にも罪>悪感を感じないだろうが。

米国を日本に、聖書を大東亜戦争に置き換える↓
>日本人の心に在った潜在的罪悪感や不安感を薄れさせ、自らの虐>殺・軍事的及び経済的侵略を正当化するために、大東亜戦争無謬>性は、実に利用価値の高い説なのである。

諸悪の根源を朝鮮人に求めるわが国の偏狭なネット右翼の言説にも警戒したいものです。と言ってもネット右翼は米国のエバンジェリストほど実際の世界で影響力のある行動はしないですが。

Posted by: スパルタコス | April 04, 2005 at 11:14 PM

西洋人とてそんなに単純な人間ばかりではない。わが国のネット右翼の思考回路は単純だが。結局単純な奴にノるのはよくないという事ですね。

Posted by: スパルタコス | April 04, 2005 at 11:25 PM

スパルタコスさんへ

>諸悪の根源を朝鮮人に求めるわが国の偏狭なネット右翼

「諸悪の根源を朝鮮人と見なす」というのは、当らないでしょう。ウヨクは、北朝鮮より、もっと中国の悪口のほうが好きですから。

軍制などの改革と同盟を非公式に打診した時、清朝と李朝は「蛮族が何をほざく」と日本を侮蔑し黙殺し、自国を自ら守る手だてを「伝統」に頼る以外考えなかった。
恐ろしいことに、当時の識字率は鎖国で国富が蓄積していた日本は約75%もあったのに、清朝の漢族排除で中国は10%近くまで落ち込んでしまっていた。日本に比べ階級差別の強すぎた李朝も、相当低かったらしい(50%以下か?)。この二カ国は、そこまで世界情勢が読めない状態に陥ってしまったのである。
その結果、アヘン戦争時の中国の二の舞になるのを恐れた日本では、征韓論が台頭せざるを得なくなる。
自衛力をもたず、列強の植民地化が避けられがたい国が隣にいては、枕を高くして眠れない。よって、「列強に取られる前に抑えて開明化させ、独立国とし、共同で防衛に当ろう」という意見が主流だった。
予定はあくまで予定、日本自体も日露戦争以後、脱亜入欧論のような選民思想的発想に染まっていき、韓国を独立させる話は反故になり、対ロシア・対イギリス用の堡塁の連なりとしてしか、韓国を扱わないようになっていった。
日本も悪いが、自分達に一切落ち度がなかったように言い張るから、中韓は日本人に「自尊心だけ一人前」と嫌われ、軽蔑されやすい。関西人のように、忍耐より自己主張が先だし..。
清朝はただ軍艦を買い、日本は軍艦製造技術を買った。軍艦製造技術の必要性を否定するような清朝・李朝にムカついたのは、日本人だけではなく、洋務派・独立党の人々もです。

結局、問題なのは「選民思想、利己主義(自己本位)、過剰な被害妄想」の三点セットなのです。
仮想敵国がいる国には常に、過剰な被害妄想が何らかの形で存在する。
現在、確実に3点が揃って顕在化しているのは、アメリカ、イスラエル、北朝鮮の三カ国です。日本にもまだくすぶっている。

竹島については、小泉政権の失策のひとつであり、60年間自己主張させなかった政府への国民の忍耐切れを、支持率対策に利用したのが悪かろう。ちゃんと国内外に説明するなら、国民も忍耐したのに。
拉致問題が解決する前に、竹島持ち出すべきじゃない。
どちらにしろ、場所が場所なので、どちらも譲れないでしょう。どう見ても、あれは「独つの島」ではなく、双子島です。半分個するか,共同統治しかあり得ません。魚が主要なタンパク源でない韓国人には理解できないでしょうが、漁業権は譲れなくて当然です。
食べ物の恨みほど根深くなるものもないです。鉱山資源より、鯵と秋刀魚の方がこれからの時代は貴重です。

Posted by: りーと | April 05, 2005 at 06:14 PM

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